実戦(仕事、災害活動)で使える身体をつくるには・・・1
ブログのタイトルが実戦トレーニングなので、タイトルのように実戦で使えるトレーニングについても書いていこう(今更かよ)。
正解のない問題の解き方にも書いたのだけど、実戦トレーニングとは?という問いにも絶対的な正解はないので、
「これが実戦トレーニングだ!」
と打ち出しても、先ず「実戦」とはなんだ?
という定義の問題と、
「どんなトレーニングが、実戦で使えるのに結果が出やすいトレーニング」なのか?
という二つの問題がある。
先ずここでの実戦の定義は、「災害活動」を想定している。そして、災害活動といっても千差万別なので、身体を鍛える際には、
災害活動で発生頻度の高い事態に対処できる能力を優先して身に付ける。
という趣旨で書かせてもらう。*1
そして、結果が出やすいトレーニングといっても
「その時点で結果が出やすいトレーニング方法」
でしかない。事実、トレーニング方法も様々なアプローチが現れては消えていく。
だからと言って、全くのゼロから試行錯誤するのもナンセンス。
我々は偉大な先人の経験や知恵を活かすことができる。
先人に学ぶことができるから、進化がある。
そして、先人から学ぶ際の一番のポイントは
「自分の得たい結果を得ている人」を参考にする。
という事だろう。
例えば、あなたが野球が上手くなりたい人だったとして、
・野球博士(野球に詳しい。けど野球は素人)
・プロ野球選手
どちらにアドバイスを聞くべきだろうか?ということ。
助言を求めるのに、もちろん知識も必要な要素だが、実際に身体を張ってる人、前線の現場を知っている人に聞いた方が良いだろう。
で、現場の経験があるという点で言えば、私は6年間災害現場の経験を積ませていただいたので、現場経験がないトレーナーよりは、災害活動に対応する身体づくりが語れると自負している。
そんな私が、考える実戦で使える身体とは?!
つづく
なんてすると怒られそうなので、最優先して身に付けるべき能力について書く事にする。
私が考える、最優先は持久力である!*2
これは経験がある人には納得してもらえると思うが、災害活動の中でも、炎上火災などの活動が長時間になる場合には持久力がないと話にならん。
しかもそんな災害が、訓練や体力錬成(トレーニング)の後に発生する場合もある。そんな続けざまに肉体を酷使する状況もありえるので、先ずは持久力を優先して鍛えるべきである。
では持久力はどんなトレーニングで伸ばしていくか?
それは次回に
ブランク、久しぶりのトレーニングについて
半年以上のトレーニング空白期間を置き、最近トレーニングを再開しました。
もちろん、身体能力は低下しています。ですから、先ずは身体を刺激に慣らしていく段階。
低負荷で刺激時間を多くするような運動・・・ジョギング、サイクリングを
息がはずむ手前、自分の感覚で楽と感じる程度の運動レベル。
筋力トレーニングを行うならば、同じく低負荷で。ジョギング等で有酸素の能力を高めて(取り戻して)から、徐々に負荷を上げていく方が、効率的だと考えます。
このブログも読む価値が出てくるように頑張らなきゃ!
正解がない問題の解き方
学校の試験問題、資格試験の答えは教科書に書いてある。
だが、世の中は正解のない問題の方が多い。
人間関係、ビジネス、組織作り、そしてトレーニング方法ですら・・・
例えば、私自身のトレーニングは自重トレーニングと有酸素運動がメイン。
これも一つの正解なのだが、ボディビルダーの人にとっては正解ではない。
良い悪いではなく、正しい正しくないでもなく、どっちが優れているでもない。
では、
プロ選手のやっているトレーニングは?
テレビで紹介されたトレーニングは?
大学教授が教えているトレーニングは?
そう。正解でもあり、不正解でもある(参考にはできる)。
同じ競技、一流選手同士でもトレーニングに違いがある。
正解を知っていたから、一流選手になったわけではない。
正解を知っていたから、優れた人間になったわけではない。
ではどうする?
「外に答えはない」と自覚することだ。
義務教育+αで正解がある問題ばかりに思考回路を使わされているから、
つい癖として、正解があると思い込み、いつまでも正解さがしにさ迷う。
優秀な結果が出ているトレーニング方法は、最初から正解が分かっていたわけではない。試行錯誤と改善を重ねて編み出されたもの。
継続と学習の賜物だ。
自分自身で参考材料を探し、学びながら、試行錯誤することで答えを生み出していくものだ。
自分自身の選択の積み重ねが正解になっていくのだ。
積み重ねこそが生き様となる。
方法は目的に従うべし 目的・目標の重要性
このブログでは、身体を鍛えるための効果的なトレーニング方法などについて書いているが、結局のところ、トレーニング方法は各人の目的・目標によって可変するものであり、絶対的な正解などない。
つまり、方法は目的に従うべし。
目的・目標が定まっていないのに、色々とトレーニングノウハウ、テクニックを探し求めても、さ迷うだけになる。(*1)
目的・目標を定めていないと、判断のための芯、軸がない状態になり、すぐにブレる。
目的・目標が定まっていれば、自分に合う合わないが即座に判断できるし、目的外、目標外の事(どーでもいいこと)にブレることはない。
であるから、トレーニング方法を探すよりも、先ずは目的・目標をしっかりと定める必要がある。
ただ、目的・目標を定めたつもりでも、定められていない人も見受けられる。
特に他人の人生を生きようとしている人は要注意。目的・目標を考えるときに、
「誰々から言われたから」
「他人からどう見られるか」
「お金のために」
「義務感」
などの理由だと、自分自身が本当にやりたい事でない場合が多い。だから、やる氣も湧いてこないし、アメとムチがなければ続かない。
本来の目的・目標というのは、「自分の人生を生きる」という事であるから、他人からとやかく言われようと言われまいと、やると決めた事なのだ。
では目的・目標を定めるにはどうするか?
色々手段はあるが*2、簡単な方法のひとつとしては、
「何のために?」
という問いかけを繰り返すことだろう。例えばこんな具合に・・・
筋肉を増やしたい。
「何のために?」
逞しい身体になって周りから認められたい。
「何のために?」
周りから認められたら、自分の事を好きになれる。
「何のために?」
自分を好きになれば、自信が持てる。
「何のために?」
自信があれば・・・
という具合に繰り返し、もうこれ以上でない、もしくは、このために生きていると自分が感じるところまで出し尽くす。
そこから、この目的を達成するための目標はどうすればいいだろうか?と逆算して考えていく。
本来の目的・目標は、自分自身の中にしかない。幸せの青い鳥は外の世界には存在していないのだ。
私自身、そのことに氣付いたことで、人生に変化が起こっている。
少しトレーニングから脱線してしまったが、この記事を読んだ方が、自分らしい目的・目標を見いだせるように祈願するものである。
*1:もちろんテクニックやノウハウも大事
*2:書籍だと、Dr.ディマティーニの最高の自分が見つかる授業やザ・ミッション 人生の目的の見つけ方がお勧め。もっと具体的な方法が知りたい方は氣軽にメッセージ下さい。
効率的な身体の鍛え方 具体的トレーニング方法
前回の記事で身体を鍛えるための順番・段階とその目的を書いた。
この記事では各段階の目的に沿った具体的なトレーニング方法を考えていく。
各段階のトレーニングについて、具体的な負荷(強度)、時間(実施、休憩)、反復回数は教科書的には次のようになっている。
(以下NESTAの教本から抜粋)
【神経筋促通】
[%1RM (*1)]:50%以下(負荷)
[Repetition]:25~15/set(反復回数)
[Set]:1~2(セット)
[Rest]:30秒(セット間の休憩)
[TUT(*2)]:2~3分
これは、「 負荷は1RM(Repetition Maximum)=最大拳上重量の50%以下の重量で、1セットに25~15回繰り返すのを1~2セット行う。セット間は30秒の休憩で1セットにかかる時間はおよそ2~3分」という意味である。
同様に
【筋持久力】
[%1RM]:60%~70%
[Repetition]:20~12/set
[Set]:2~3
[Rest]:30~45秒
[TUT]:50~80秒
【筋肥大】
[%1RM]:70%~80%
[Repetition]:12~8/set
[Set]:3~6
[Rest]:60~90秒
[TUT]:40~70秒
【筋力】
[%1RM]:80%~90%
[Repetition]:8~4/set
[Set]:2~6
[Rest]:2~4分
[TUT]:20~40秒
【パワー】
[%1RM]:90%~100%
[Repetition]:5~1/set
[Set]:3~5
[Rest]:2~5分
[TUT]:1~20秒
となっている。
トレーニングメニューを計画・作成する時には、上記の負荷設定、時間設定と合わせて、
・トレーニングのタイプ:自重、ウェイトマシン、フリーウェイトなどのレジスタンストレーニングの種類
・トレーニングの頻度:週に何日?(部位で分けるor全身を一度に行う)
・上達速度:目標に対しての効果を測定
というような要素を組み合わせてメニューを考えていく。その際、身体を鍛える目的、目標が根本になる事を忘れずに。目的、目標に従うのであれば、上記要素の変動範囲から多少逸脱しても構わない、と個人的に考えている(*3)。
例えば運動初心者(*4)で、全身をバランスよく鍛えたいと考えているならば・・・
タイプ:自重トレーニング
種目:腕立て伏せ、シットアップ(いわゆる腹筋)、スクワット、斜め懸垂or家具を使ったローイング
頻度:週に2~3日の頻度から
各種目の回数などは、上記の各段階の負荷設定、時間設定を参考に決めていく。例えば、ほとんど運動経験がないならば、神経筋促通の段階から・・・20回が限界と感じる程度の負荷で、2セット行う。
という具合にメニューを決めていく。
私の場合(*5)は・・・
・神経筋促通~パワーのほとんどを自重トレーニング(*6)で行い、筋肥大~筋力の段階で刺激の変化としてフリーウェイト(*7)を取り入れている。
・神経筋促通~筋持久力の段階では、サーキットトレーニング(*8)をメイン行う。
・筋持久力~筋肥大の段階では、筋持久力&化学的ストレスによる筋肥大を狙って、腕立て伏せ30rep+懸垂10repのスーパーセット*10setなどのハイボリュームを行う。
・筋力の段階では、片手腕立て伏せ、荷重懸垂、ピストルスクワットなど難易度の高い自重トレーニング(もしくはフリーウェイト)
・パワーの段階では、反動を使った動作・・・マッスルアップ、ボックスジャンプなど
という感じで行っている。もちろんこれが完成形という訳ではない。
トレーニング方法というのは、上記の科学的根拠(*9)と、目的・目標を見据えたうえで、自分の経験と知識を応用しながら絶えず試行錯誤するものだと思っている。
ここまで、各段階のトレーニング方法との定め方について書いてきたが、
・各段階はどれぐらいの期間でステップアップするのか?
・どれぐらい神経筋促通の段階を行えば次の筋持久力に移るのか?
・一つのサイクル「神経筋促通~パワー」はどれぐらいで設定するのか?
といった疑問が浮かんだ方もいらっしゃるだろう。
このように長期的視点に立ってトレーニングを変化させることを、スポーツトレーニングの分野ではピリオダイゼーションといい、パフォーマンスのピークを重要な試合などに向けて調整していくことをいう。
スポーツ選手(愛好家)ならば、自分の目標とする試合などに向けてピリオダイゼーションを組んでいくのだが、健康づくりを目指す人や試合という概念がない人にとっては、明確な線引き、正解はない。
あるとすれば各人の目的、目標によるものである。つまり、目的や目標により変動するということ。
例えば、目的が疲れにくい身体であれば神経筋促通~筋持久力を重視するだろうし、持久力は自信があるから筋力が欲しいとなれば、筋力の段階の比率を上げる。といった具合だ。
正解はないとはいうものの目安として、身体が新しい刺激に適応して次のレベルへステップアップするには4~8週間という記述がNESTAの教本にもあり、また私が自重トレーニングに目覚めるキッカケとなった某人(*10)も10週間でメニューを組んでいる。
これらの参考材料から、一つのサイクルを8~10週間単位でメニューを構成する事は様々な人にとっても分かり易いと思う。
例えば8週間で考えるなら、
1~2週:神経筋促通
3~4週:筋持久力
5~6週:筋肥大
7~8週:筋力&パワー
といったサイクルで計画し、サイクルの終わりに休養を入れた後に現状を把握するテストやイベント(試合、体力試験、個人的挑戦など)を行う。
以上、各段階でのトレーニング方法について書いてきたが、トレーニング方法は目的、目標によって変動するし、その科学的根拠も年々進化・変化している。
やはり重要なのは自分の目的・目標に沿ったトレーニング方法を探究する姿勢かなと思う。その際は、科学的根拠や欲しい結果を得ている人を参考にして、試行錯誤を楽しみながら成長していくという事を忘れずに。
*1:%1 RMの意味についてはコチラ(筋力・筋持久力トレーニングの強度の欄)
*2:TUT=Time Under Tension=1セット開始から終了までの時間
*3:科学的根拠も重要だが、最も重要なのは自分の身体がどのように適応していくかを感じる感覚を磨き、かつ測定を行って試行錯誤することである。
*4:初心者といっても、標準化されたメニューよりは個別のレベルに合わせたメニューの方が当然効率が良い。
*5:私のトレーニングの目的は有酸素運動と筋力トレーニングを両立して行い、対応力の高い総合運動能力を向上させること=イメージは消防士、特殊部隊員、機動隊員などのプロフェッショナル。そのために自重トレーニング、HIT、フリーウェイトによるレジスタンストレーニングを混合して行っている。(有酸素運動=トライアスロンも同時に行っている)目的、目標が近い人には参考になると思います。
*7:公共のジムなどを利用すれば1回数百円
*9:科学的根拠も研究が進めば揺らいだり、ガラリと変わったりするが、原理原則をおさえるようにすると良い
効率の良いトレーニングの考え方 その2
以前の記事で身体、能力の成長には順番があり、それは、
「神経筋促通 → 筋持久力 → 筋肥大 → 筋力 → パワー」
という順番である事と、順番を守る方が効率的に鍛えられるという事をもう一度強調しておく。
例えば筋持久力をつけていないのに筋力の段階に進もうとしても、持久力が弱い(筋力的にも精神的にも)と効果的に追い込めない。
効果的に追い込めないと、刺激が与えられない=成長が少ないという事になってしまう。
(※追い込む=自身の能力の限界値を引き出す。多くの初心者は追い込みきれない)
一流アスリートなどのパフォーマンスに魅せられて、はやって、筋力やパワーをつける事を目指しても効率は上がらない。
一流アスリートの華やかなパフォーマンスの背景には、大きく強固な基礎が存在しているのだ。
地味な基礎、小さな事の積み重ねが一流のパフォーマンスを支えるものである。
急がば回れ、発達の順番を守る方が結局は近道になる。
順番の重要性を理解した次は、各段階でどのようなトレーニングをすれば良いのか知りたいと思われるだろう。
その前に、各段階での目的を理解することが重要である。目的を理解してから適切なトレーニング方法が導かれるのだ。
「神経筋促通 → 筋持久力 → 筋肥大 → 筋力 → パワー」
のそれぞれの段階の主たる目的は
神経筋促通:効率的・適正な動作の学習
筋持久力:長時間の負荷に耐える能力の向上
筋肥大:筋のサイズアップ
筋力:筋の最大に発揮できる力の向上
パワー:短時間で最大の力を発揮する能力の向上(爆発的動作)
である。
神経筋促通の段階については、コチラの記事でも触れた。
効率的・適切な動作を反復することで神経回路を強化する段階である。
神経回路を強化するというのは、最初は不慣れで、意識しないと行えない動作も、反復することで段々とスムーズになり、最終的には意識を働かせなくても自動操縦のようにできるようになる事を目指すものである。
通勤通学路を自動車の運転や自転車の操縦など、慣れた動作を無意識に行っていて、氣付いたら目的地についていた、といった事を経験している人も多いだろう。
いわゆる身体で覚えるという段階に至るのである。
※神経回路の学習について「この記事が分かり易い」
※無意識の動作、習慣などは基底核という脳の部分が司る
→興味のある方は「習慣の力 The Power of Habit」という書籍がお勧め。
意識を働かせなくても効率的・適切な基礎動作ができるようになれば、意識、集中力を別の対象(※)に注ぐことができるようになるのが最大のメリットである。
※トレーニングでいえば耐える、力を発揮する事など
これが基礎が大事と言われる理由の一つであると私は考えている。
例えば、消防士だと基礎訓練・・・ホースの伸ばし方、筒先の構え方、梯子の運び方・・・等々を叩き込まれるが、これらの基礎が身に付けば=身体が覚えれば、実際の現場ではホースを伸ばしながら、梯子を運びながら、状況判断や部隊の動きなどに注意を払えるようになるのである。
逆に身体が覚えるまでになっていなければ、動作の方に意識を取られてしまい、周りが見えなくなってしまうのだ。
基礎の大事さ、神経筋促通の大切さが分かっていただけるだろうか。
神経筋促通の次は筋持久力の段階、ここではレジスタンストレーニング(いわゆる筋トレ)についての限定的な話をしているので、筋持久力と表記している。
持久力という大きな枠で言えば、循環器系(心肺機能)の持久力(=全身持久力)も持久力の要素である。当然、強い身体機能を目指すならば、全身持久力も同時に高める必要がある。
筋持久力というのは、筋の収縮を繰返す能力である。長時間の負荷に耐えれるように筋肉の持久力を伸ばす段階である。
※筋肉にも白筋・赤筋という種類があるが、ここではトレーニングの目的に焦点を当てるため省略・・・筋肉の種類、特性については後々解説する。
前述したように、筋持久力がなければ上位の段階のトレーニングが効果的に行えない。また、生活および運動時で一番要求される場面が多いのも筋持久力である。(歩行、階段の昇降、姿勢の維持など)
私自身の体感では、筋持久力を鍛える過程で精神的な粘り強さ=忍耐力も養われていると感じる。
筋持久力のトレーニングが、「定められた目標を達成するまで、辛さに耐えて、やるべき事を継続する」というものなので、忍耐力もつくのであろう。
これらを考えれば筋持久力(持久力)も身体能力および成長における基礎的要素である。つまり、筋持久力(持久力)が欠けていては強い身体はつくれない。
そして、筋持久力(持久力)が成長すれば疲れにくい身体になり、トレーニングも生活も充実させることができる。
次の段階は、筋肥大である。一般的に筋トレ=筋肥大を目指すものと言われている。(このことについては以前の記事で疑問を呈した)
大手スポーツジムや書店の目立つ場所には、「筋肉をつけて基礎代謝アップ」「筋肉をつけて理想のボディ」などのコピーが並ぶ。
確かに筋肉をつけることは必要なので、それらのメインストリームを真っ向から否定するわけではない。
が、ここまで述べたように、段階を踏まずに筋肥大を目指しても効率が悪く、偏ってしまえば運動能力が低下する。
これらに注意しつつも、筋力は筋肉の太さ(断面積)に比例するので、筋肥大のトレーニングは必要である。
※私自身にも自己顕示欲はあるので、ある程度見た目も向上させたいが、私が重要視するのは「どんな見た目か?(容姿)」よりも「何ができるのか?(能力)」=「形態は機能に従うべし」である。もちろん、このような考えではない人も存在する。要はトレーニングの目的を忘れるなということ
そして、筋肥大のための刺激は、一般的に言われるストリクトな動作だけに限らないので、今後具体的なトレーニング方法の際に記述していく。
筋肥大の次の段階は筋力=太くなった筋肉を最大限活用できるようにしていく段階である。
負荷の最大値を大きくしていく段階であり、強い負荷に立ち向かっていくことで、精神的には集中力が養われると実感している。
太くなった筋肉を使って有効に力を発揮するためには、神経系の調整機能、拮抗筋、共同筋、小筋群との共同性を養う事が必要になる。
筋の断面積当りの力は約6kg/cm2であり、体重70kgの人の場合、全身の筋肉が一度に働いたとすると約17tもの筋力が発揮される(※)。
※参考「究極のトレーニング 最新スポーツ生理学と効率的カラダづくり」(石井直方東京大学大学院教授)
もちろん全身の全ての筋肉を発揮できるわけではないが、タバコ1本分(0.5cm2)で3kgの力を発揮できるようなポテンシャルを持っている筋肉の力を、常に100%発揮していると、骨や腱が耐え切れない。
であるから、普段は神経系が筋力を抑制、コントロールしている。
火事場の馬鹿力というように、何らかの原因(骨や腱を保護することよりも大事な理由)で神経系のリミッターが外れると、筋肉のポテンシャルを最大限発揮することができる。
また腱や骨を保護する仕組みとして、最大筋力を発揮した場合のストレスを分散・緩和させるために、単一の筋肉だけが働くのではなく、拮抗筋、共同筋、小筋群が連動、協調することで、一か所にストレスが集中することを防いでいる。
これらの仕組みを、自分の身体が壊れない範囲で最大の力、筋肉の潜在能力を引き出せるように鍛えるのが筋力の段階である。
そして筋力の次はパワーの段階である。
パワーとは、一定時間にどれだけの仕事(エネルギー)を発揮することができるのかを測る値である。
ここでの仕事とは物理学での言葉で、
「仕事=力×変位(動かした量)」
である。仕事を要した時間辺りで測るのがパワーであるから
(数学の時間ではないので微分などの考えは省略)
「パワー=力×変位÷時間」
つまり、大きな力を素早く発揮できる能力=パワーが大きい、となる。
大きな力が発揮できても、ゆっくりとした動きならばパワーが小さくなり、素早い動きでも力が弱ければパワーも小さくなる。
※一般的な仕事という言葉の意味で考えても、大きな成果を素早く出せる人が優秀とされる事と共通しているのは個人的に面白い。
平たく言うと、パワー=瞬発力である。爆発力と言っても伝わるかもしれない。(爆弾は一瞬で大きな力を発揮する)
日常において瞬発力が要求される場面は、持久力ほどは多くないが、備えていれば有益であるし、スポーツ選手やプロフェッショナルはこの能力で勝敗が左右される。高いパフォーマンスには欠かせない能力である。
精神的には、一瞬のチャンスを逃さない力・姿勢につながると考えている。
大きな力を素早く発揮するための仕組みを養成するのがパワーの段階であるが、どのようにそれを実現するかと言うとバネの力を利用する。
バネと言うと、あの伸び縮みするバネである→画像
よくスポーツ選手などを表する時に「バネのある動き」などと言ったりするのは的を得ている。人体の中にはバネがあるからだ。
どこにあるかと言うと、筋肉と骨の結合部分に存在する。人体のバネ=腱と筋である。
腱と筋に弾性エネルギーを蓄え(バネが縮む)解放する(バネが伸びる)ことで、瞬間的な力の発揮を実現している。
この仕組みはSSC(伸長反射)と言われている。
(※論議もあるようだ。つまりSSCでない反動動作もある)
細かい議論や言葉の定義は専門家に任せるとして、瞬発力を発揮するには、
エネルギーを蓄えて解放する動作=反動を使った動作
が必要になる。
ジャンプする時にしゃがみ込んで地面を蹴る方が、立ったまま地面を蹴るよりも高く飛べる。それは、しゃがむ動作でエネルギーを蓄えて、地面を蹴る時に蓄えたエネルギーを一氣に解放しているからである。
これらの各段階の目的を理解したうえで、次は各段階での具体的トレーニング方法を記述する。
つづく
トレーニングは刺激(発注)であり、反応(納品)により身体が成長する
トレーニング初心者が間違えがちな事に、トレーニングをやっていれば
身体が強くなるという思い込みがある。
実際に身体が強くなるのは、休養中だ。
つまり、トレーニングによる刺激により、身体が刺激に適応しようと
反応する=身体が強くなるのである。
身体が反応する前に刺激を与え続けると、
身体が耐え切れなくなる=オーバートレーニング
身体が反応する条件を整えてあげるのが栄養と休養である。
(上級者は、計画的に負荷を与え続けるオーバーリーチングを用いる場合がある)
レジスタンストレーニング(筋トレ)の反応は超回復と言われ、48~72時間が目安とされる。
有酸素運動(ランニング、サイクリングなど)であれば、24~72時間が目安となる。
もちろんこれらは目安なので、自分の感覚を磨いていき、「疲労感が強いからもう少し休養しよう」という判断ができるようになる事も大切である。
以前から、完璧なトレーニングは「ない」と言っているのは、
反応(=身体の成長)は刺激(=トレーニング)の特有性によるから、
つまり、どのような反応を引き起こしたいによって刺激を選び、
組み合わせる必要があるからだ。
例えば、消防士ならば、長時間の活動(徹夜の消火活動など)に
耐えうる持久力をベースとして、様々な状況に対応できる筋力、
パワー、バランス能力が必要になる。
これらの要求を満たすためには、ひとつの刺激(トレーニング)では
満たすことができない。
持久力を養うためには全身有酸素運動 or HIT
筋力やパワーを養成するには、各種レジスタンストレーニング、反動動作、プライオメトリック
バランス能力には自重トレーニングや体幹トレーニング
これらを自分の現状と目標に合わせて組み合わせてトレーニングする
ことで、様々な状況に対応できる身体を作ることができるのだ。
さらには、組み合わせだけでなく、漸増性、刺激の変化がないと成長は止まる
=ひとつのトレーニングだけ続けると刺激慣れして成長が見込めない。
トレーニングに意識が高い人は、様々なオプション(選択肢、引出し)を
持っているのだ。
(※消防隊、救助隊も一つの救助方法しか知らないより、場面に合わせて
最適な選択をできる方が優秀とされる)
そして、現状をどう把握し、どういった比率で組み合わせるかは、知識と
経験で培われていく。試行錯誤あるのみ。
ただ、自分が欲しい結果を得ている人は大いに参考になる。